おはようございます。ちょうどこの記事を書いている時は梅雨も本番のジメジメした重たい日々です。そう空気中の水分がお多いとエンジンの調子だってイマイチなんです。
水分が多ければ火が着きにくいのは当然のことですからね。
そんな症状があると気になるのが点火系の性能向上なわけです!こんな季節でも乾いたエキゾーストを奏でて走れば気持ちいいですからね!
点火の火種となるプラグギャップについて少しお話しましょう。
プラグ点火とは
イグニションコイルの1次コイル側にバッテリーから与えられた12V~14Vほどが通電されています。そこまではどれでも同じです。
そしてマイナス側にはディストリビューター(デスビ)からポイントやイグナイターによってスイッチング(通電のオン・オフ)が行われてオフになった瞬間に1次コイルに溜まった電気が2次コイルに流れて1万~3万ボルト程に昇圧されプラグコードを経由してプラグへ供給される仕組みです。
※CDIでは4万~5万ボルトになります▶関連記事
しかし電流は数mVしかありませんから触っても「お~っ痛って~!」と泣く程度ですが、CDIなど入れていると4万~5万ボルトとなるので痛いなんてもんじゃなくかなりヤバいです。本当に注意しましょう。※経験済み
プラグでの火花は空中放電なので数万ボルト級の電圧が必要なのです。高い圧縮やターボ過給圧、希薄燃焼または、プラグギャップを広げるなどによって火花はどんどん飛びにくくなります。パワーアップを狙えば失火の可能性が高まり要求電圧はどんどん高くなるので点火システムの役割は重要になり、とっても難しいのです。
良い点火と悪い点火
三要素のひとつ「良い点火」は他の要素より重要だと思っています。多少キャブセッティングが悪くても強烈な点火があれば、そこそこ走ってしまうからです。
逆に良い混合気や圧縮があろうと点火が弱いと元気に走りません。濃すぎても薄すぎても完全燃焼できないからです。失火(不完全燃焼)が続けばプラグが濡れて「かぶり」にもなります。
ガソリンは燃えると火力が強いですが、軽油や灯油とちがい実は燃えにくい性質です。
オクタン価という言葉がありますがハイオクの場合はレギュラーより着火しにくい性質なんです。自然着火(ミスファイア)しにくいということ。ある一定の条件にならないと着火しないので、超高回転エンジンや高圧縮のチューニングエンジンには欠かせないガソリン燃料です。
つまり、ハイオクガソリンは超高温のシリンダーに送り込まれても自然着火(ミスファイア)することなくプラグの点火がなければ燃焼が始まりませんから正確な点火制御が可能で高出力が狙えるわけです。レギュラーガソリンでカリカリ言うのは異常なタイミングで自然着火してしまっている「ノッキング」という現象で最悪エンジンを破壊するほど危険です。
という事で、燃えにくい条件のなか、正確で確実に着火させるプラグの点火力(着火力)がとても重要だということが分かります。
プラグギャップとは
プラグはコイルで作られた数万ボルトの高電圧を利用して空中放電する雷と同じ装置です。
数万ボルトとは言え電線のない空中での放電は極めて困難で、プラグ電極の距離(プラグギャップ)は一般的に0.7mm~1.1mm程と僅かな隙間しかありません。
新しいプラグでも0.1mmくらいの誤差があることも多いです。プラグにとって0.1mmは非常に大きな数値で要求電圧は数千ボルト上昇します。新品プラグでも確認しましょう。
プラグはギャップを広げることで基本的に火花は大きくなります。
通常の点火システム(ノーマル)では最大1.1mmまでがトラブルの起きない安全圏です。その理由はプラグメーカーの既製品で確認できます。
▲のようにNGKのイリジウムなどの型番の最後に11と書いてあるタイプはプラグギャップ1.1mmであることを示しています。プラグメーカーが出荷時から1.1mmのプラグギャップに調整されたプラグという事なんですね。ちなみにイリジウム以外の通常プラグでも1.1mmタイプがあります。
広いプラグギャップのデメリット
確かにプラグギャップを広げれば火花は大きくなり火炎伝播速度は上がります。ただプラグギャップを広げるにはデメリットも生じます。電極が広くなることで放電するために高い電圧が必要になります。つまり要求電圧が上がるということになるので、ポイント、イグナイター、コイル、プラグなど点火システム全体に大きな負担が掛かるようになります。
▼プラグギャップ1.4mmにしたものです。かなり広いことが分かります。
その全てがもともと消耗品ですが、各部の消耗が早くなリます。それと1.1mmを超える広いギャップにすることで要求電圧が高くなり、ノーマルの点火装置の性能が負けて失火(不完全燃焼)する場合もあるので、システムの見直し(高電圧のCDI・低抵抗コイル・低抵抗プラグコード・ハイテンションコード)などが必要になってきます。
つまり要求電圧に見合うように上流の電圧を上げて下流に向けて電気を流れやすくするわけです。
広げたプラグギャップのメリットを活用するにはそれなりの環境が必要と思ったほうがいいでしょう。
▶関連記事 低抵抗コード・コイル
実際にプラグギャップを調整してみる
普段のメンテナンスからプラグギャップ調整をご紹介しましょう。
まずはプラグレンチを使ってエンジンから外します。
外したプラグのギャップ調整をする際には調整用の専用工具があります。一般的なプラグはこのような工具で調整が可能で、それぞれの目的の厚さのゲージが揃っています。最近ではあまり見かけなくなりました。
ちょっと力を入れるだけで0.1mmくらいすぐに広がりますので慎重に広げます。やり過ぎると端子を折ってしまいますので注意しましょう。
ただしイリジウムプラグやレーシングプラグの場合はプラグギャップ調整することを前提としていないのため工具が使えない場合が多いです。マイナス端子が太く頑丈にできていて工具がそもそも入らないか、簡単に曲がらないほど硬いです。
▼NGKレーシングプラグ
1.1mm以上となると専用工具のゲージには無いのでシックネスゲージが必要です。日本でも人気のアメリカ製CDIアンプのMSDを組んでいる場合は1.3mm程度に広げるように指示されている場合があるのです。
写真はまさにMSD製の高性能CDI用に1.4mmに広げたものです!
やってみた感想は「ホホゥ・・・これはスゴイね」完全燃焼のトルク感を感じます。
でも、何度も言いますがCDIと強化コイルなどの対応できる環境が無いと逆効果になる可能性がありますのでご注意ください。
MSDのCDIやコイルを使ってもそれぞれの発熱量が大きくなり、その負担の大きさを感じます。
▶関連記事 CDI
あとがき
プラグギャップの調整は特に低回転時に体感できるほど影響力があります。
しかし高回転域ではどうかというとミスファイアの可能性を高めてしまいます。OHVなどの低回転型エンジンにはいいですが、DOHCなど高回転型エンジンなどの場合は闇雲に広げれば良いというものではありません。
ここで記述していることは一定の条件での話であって、点火については非常に奥が深く「これがベスト」という物がありませんがプラグギャップがフィーリングに大きな影響力があるという事は確かなことです。いろいろ試してみると楽しいですよ。
予報は晴れのち快晴です。カーマニアック編集部@サニーでした。
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