工具とかメカとかってって、なんでこんなに癒されるんだろう。
カーマニアック編集部です。
今回の目的はマニュアルミッションのオーバーホールですが、長編となったので3部作に分け、今回はメインディッシュの、その2「オーバーホール」です。
いよいよ前回のミッション外しにつづき、外したミッションをバラバラにしていきます。そして、悪いところをチョメチョメ・ゴニョニョしていきましょう。
開腹手術される車両の紹介
1998年HONDAインテグラTypeR 98スペック
競技の世界でも未だに一流の速さを見せる伝説的な名車です。1990年代HONDA人気を支えていました。自然吸気(NA)でそのF-1のピストン速度を上回る速さで回転するエンジンはレーシングエンジンそのものでした。そのパワーにミッションがついていけぞよく壊れました。。。
2007年LOTUS EXIGE ロータス エキシージ
ロータスのエキシージはトヨタの2ZZで数値上のスペックはインテグラと同等ですが、高回転が明らかに頭打ちで軽快に回りませんが、ミッションは剛性がとても高かったです。
ミッションを開腹する
いよいよDIYの醍醐味!ミッション開腹です!御開帳~!
ミッションケースをあけると、このような感じ!エンジンとちがってミッションはとてもきれいな状態なんです。美しい!メカだ~!キュンキュンする💕✨💗
大きなギアや大きなベアリングに支えられていますね。200馬力以上のパワーをタイヤに伝えて1トンの車体を動かすのですから、精巧且つ頑丈でなくてはなりません。
メインシャフト、カウンターシャフト、デファレンシャルギアとエンジンからタイヤを回すドライブシャフトに向かってパワーが伝わっていく順番どおりに並んでいます。
とても美しい光景です。素晴らしい機械の造形美でしょう。メカオタク・DIYオタクには、もうたまりませーん( *´艸`)
3本あるシャフトはシフトフォークという部品です。シフトレバーの操作をするとロボットアームのようにフォークをシャフトを通じて動かしています。人とつながっているところって萌えますよね。あれ? ちょっと引いてます?
シャフトのところが三つ凹んでいますよね。これはシフトレバーを動かすときにカチカチって音がなるところです。ミッションケース側にスプリングで押された鉄のボールがここにはまっています。
ではもう少し詳しく見てみましょう。
ミッション内部の説明
上がメインシャフト(エンジン側)で下がカウンターシャフト(デフ側)です。大きさの違うギアが並んでいますが、左から1速ギアでその隣りだけ横向きギアですがバックギアです。そして右に向かって2速~5速と並んでいます。こんな小さいギアで1トンの車体をホイールスピンさせて加速するんですからギアってとってもスギョイです!
1速~5速ギアまでの間にはシンクロメッシュというギアをスムーズに切り替えるために真鍮製の柔らかいリングが入っています。ギアを切り替える度にシフトレバーの動作がシフトフォークに伝わり、このシンクロスリーブを動かすとシンクロメッシュリングが押されて次のギアとの回転差を吸収しながら刺さってギアチェンジが完了します。考えた人は天才です!50年以上前にこの技術が実現していたんです。
シフトチェンジするたびに真鍮のシンクロリングが最初に受け止めるので、操作が荒いと擦り減っていきまます。※ミッションオイルが温まるまではダブルクラッチなどで労わるといいですよ。
消耗部品の傷みと交換
シンクロリングの傷み
実際にたった1年間でこれだけ傷ついたシンクロとスリーブの歯の状態をみてください。
シフトチェンジでガリっといった瞬間にこのように傷ついていくのです。でもレースなどモータースポーツで使ったものですから、普通にはこうはなりません。こんなところも確認できるのはDIYならではです。部品は納得してから交換したいですよね。
シンクロスリーブの傷み
ギアの入りが悪い原因のほとんどがこのシンクロの傷みですが、それだけで部品入手できない場合も多くてシンクロとスリーブがセットで高額だったりします。スリーブ側もこのように尖った先端部が欠けています。ジムカーナで使うミッションは禁断の1速シフトダウンがあるので、異常な使い方ですから仕方ない?ようです。
ギア側にもスリーブが刺さる歯があって傷ついていたら交換です。1速はカウンターシャフト一体型なので、かなり高額出費です。。。
見てしまうとね・・・DIYの辛いところです・・・
ミッション設計の違いがわかる
マニュアルミッションって弱い?と思われちゃいますが、例えばトヨタC60ミッションは全然問題ありませんでした。これはミッションケースの剛性が違うためです。トヨタはミッションケースを3分割することで力を分散してるところがポイントだったようです。赤いラインのところで部屋が分かれるように分割されています。DIYで分解するときは「オイオイ大変だな」と思いますが素晴らしいアイデアだと思います。
DIYで便利なインパクトレンチ
今回のDIYで使用頻度の最も高いインパクトレンチですが私が愛用しているKTCの500Nmであれば大抵のものは一発で外すことができます。
さらに最強の850Nmのものがあってクランクボルトも楽勝で外れせます。DIYにはパワーツールは必須なんです! 手動の場合は超ロングスピンナーハンドルという工具を使うと楽に外すことが出来ます。ただハンドルがあまりに長いので使える場所が限られます。まぁ1本はあった方がいいでしょう。
DIYでタイミングベルト交換するときに必要なクランクボルトも外れます。それとドライブシャフトのセンターナットも楽勝で外れます。
※取り付けの際はトルクレンチで締めましょう!
インパクトレンチで取り付けはNG
あまでも外すときに便利なものですが、取り付けの際はせめて借り締めまでにして、トルクレンチを使って締めてください。締める場所ごとに指定トルクがあるので頻繁に変更しなければならないので、デジタルレンチは便利ですよ。
ツールが安いエアー工具
電動工具を中心に紹介してきましたが、DIYにはエアーツールもあると便利です。塗装にも使えるしタイヤ空気入れが出来るなど便利です。最近のコンプレッサーは静音ポンプもあるので自宅で使うには助かります。コンプレッサーを選ぶポイントは静音タイプとタンク容量です。また圧縮エアーには空気中の水分が含まれますので塗装で使う時は水抜きツールと塗装用のスプレーガンをセットで用意しましょう。
塗装中に水が吹き出てきたて大変な事になります。(経験済み)
エアーツールは非常に豊富で電動工具より安いです。
問題はホースが邪魔なのとタンク容量が小さいと長時間ツールを使い続けられないので、ベルトサンダーなどは非常に厳しいですね。
あとは電動工具のような繊細な動きには苦手です。使わないツールはエアーツールにするなどするといいと思います。それと電動工具には出来ないこととして、エアダスターで掃除できるというところです。これ意外と重要!!!
これらがオーバーホールで交換した部品の一部です。この他にカウンターシャフトなどもありますので、ほとんど全てと言っていいでしょう。新品のミッションが組めそうです。ベアリングを外すにはベアリングプーラー、ギアにはギアプーラーが必要です。ギアは三つ爪プーラーがお奨めです。
スナップリングを外すことも多いので専用のプライヤーがあると便利です。
DIYによるオーバーホールはここで終了です。ここからは、開封したついでの作業です。
デファレンシャルギアを機械式に交換する
FFやMRのトランスミッションをDIYで降ろすなら一緒にやっておきたいのはデフ(LSD)交換ですね。何度もやりたくない作業は一度に済ませたいものです。
ここでは機械式デフ(LSD)の交換をしていきます。LSDはコーナリングの際に内輪が路面から離れようとするときに空転が起きにくくさせ前進するトラクションを保つためのチューンナップパーツです。
雪道でも片輪がスリップせずタイヤの推進力を失わないので前に進むわけです。
機械式デフは宣伝抜きでクスコのRSをお奨めします。ディスク枚数が多いのと、コイル式スプリングを使っているため長持ちします。いくつも使って経験した結論です。
でも機械式はデフオイルの交換を小まめにしなければなりません。
下記はZC33Sのスイフトスポーツ用ですが、最近ではミニバンなどほぼすべての車種用があります。
ファイナルギアを移植してサイドベアリング圧入
さてFFミッションはデフも同じミッションケースの中で一緒に入っているので、デフだけ交換すようとする場合はオーバーホールと同等の作業が必要になるため面倒です。お店による交換工賃が高いのはそのためなんですね。でもこれだけ分解してあれば、もう楽勝です。
元々ついていたデフから一番大きなファイナルギアを外してサイドベアリングは新品ベアリングを圧入すれば概ね完了です。
ここでも専用工具のギアプーラーやベアリングプーラーが必要になる場合があります。引き抜く工具としては、スライディングハンマー式のプーラーも便利です。またはベアリングの圧入があるので油圧プレスが欲しいですね。どちらもリーズナブルな工具があります。
ボルト類の取り外しは電動インパクトで、締め付けはトルクレンチで締めましょう。
ミッションを閉じる
いよいよトランスミッションのDIY作業は終わります。
ここでミッション内部のものを充分に確認しながらすべてを元に戻して、ミッションオイルが漏れないように、液体ガスケットを周囲に塗ってからミッションケースを閉じます。
液体ガスケットもいろいろありますが、WAKOSのGM-Tガスケットが油脂類に侵食されないので一番お奨めです。写真に使っている赤っぽい液体ガスケットはよくあるタイプですが、オイル漏れを起こすことがありましたが、WAKOSのGM-Tは全くそれがありません。とくにエンジンに使うガスケットとしてお奨めです。それとお薦めのミッションオイルは迷わずOMEGAの690ミッションオイルです。
これで、ようやくトランスミッション作業すべて終わりましたー!( *´艸`)
締めるときはトルクレンチですよ!
第二巻あとがき
第二巻はここまで、小休止です。マニアックすぎて疲れてません?(笑)
この後は、せっかく頑張ってDIYで分解してあるので、他にもまだ出来ることをいろいろをやっていきます。と言ってもクラッチ交換とドライブシャフトブーツ交換です。
ドライブシャフトを長持ちさせる秘策もお伝えしますよ!
予報は晴れのち快晴です。カーマニアック編集部サニー@でした。
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