DIYに使う工具って、なんでこんなにワクワクするんだろう。
カーマニアック編集部です。
今回の目的はマニュアルミッションのオーバーホールですが、長編となったので3部作に分け、今回はその3「クラッチ・ドラシャ」です。
いよいよ前回の1話「ミッション外し」・2話「ミッションOH」につづいて最終話3話「クラッチ・ドラシャ」です。
ミッションのオーバーホールなんて気力と根性が無いとできない作業です。(本音)
せっかくだからついでにやりたいことはやっておきたいですよね。
そこでクラッチ交換とドライブシャフトのメンテナンスです。FF車両でジムカーナなんかやってるとドライブシャフトは壊れやすいんです。なのでちょっと壊れにくくする秘策も教えちゃいますニャ(=^・^=)
実験にバラバラにされてる車両
1998年HONDAインテグラTypeR 98スペック
競技の世界でも未だに一流の速さを見せる伝説的な名車です。当時はF-1が大人気でHONDA人気を支えていました。自然吸気(NA)でそのF-1のピストン速度を上回る速さで回転するエンジンはレーシングエンジンそのものでした。
そのパワーを路面に伝達するミッションはFFという作りゆえに変速ギアとデファレンシャルを一緒にケーシングされてるため熱に関しては過酷な状態となります。
2007年LOTUS EXIGE ロータス エキシージ
次はロータスのエキシージです。エンジンはトヨタの2ZZで数値上のスペックはインテグラと同等ですが、高回転が明らかに頭打ちでTypeRのB18Cエンジンように軽快には回りません。ただ逆にミッションの作りは二分割にするケースを採用するなど剛性がとても高くHONDAの比ではありませんでした。こちらは機械式デフを装着するのとクラッチ交換するために二度ほどミッション開腹しております。
クラッチ交換してみる
ここまで来たら、せっかくなのでDIYでクラッチ交換しましょう。クラッチと言ってもいろいろパーツがあるんです。必要な部品を確認です。
必要なパーツを確認
クラッチはクラッチディスクだけではありません。それを挟み込むクラッチカバーとエンジンの回転と常に同じフライホイールが3つでセットですが、フライホイールは交換しない場合が多いです。でもこの際に軽量フライホイールなどへ交換するのもありです。
そしてクラッチカバーを押すレリーズベアリング、レリーズフォークなどがあります。レリーズベアリングは勿論ですが、レリーズフォークも擦り減ってトラブルの原因になりやすいパーツです。
ざっとこれらを交換してしまえば、クラッチ操作が上手な人になら10年は開腹しないで済むでしょう。
▼写真のものはDC2インテグラ用のクラッチキットです。最低限このクラッチカバーとのセットで交換するようにしましょう。こちらはスポーツ走行に対応したメタルクラッチです。クラッチの切れ味が違うので高速動作でのシフトミスやギア鳴きが減ります。
クラッチ交換作業の注意点
DIYでクラッチ交換作業をしようとすると悪戦苦闘するのは、センター出しと言う作業なんです。地味なんだけど、うまくいかないと投げ出したくなります。ここは専用の工具が必須なんです。
▼の図のように、クラッチディスクは常にミッションと繋がっています。そしてエンジン側にはクラッチカバーとフライホイールが常に繋がっています。その接触する部分がクラッチ板の摩材(黒い部分)とパイロットシャフト先端の部分です。青いエンジン側にはパイロットベアリングと言う小さいベアリングがあり、そこへパイロットベアリングを差し込むのですが、パイロットベアリングが正確に中心に来ていないと入りません。しかしクラッチディスクは組み立てる際にクラッチカバーの約1トンの圧力で固定されるので、先に中心に合わせてから取り付ける必要があるのです。
▼の実際の写真を見ると良く分かります。クラッチキットは組み立てると、ミッション側のパーツであるクラッチ板だけが、エンジン側に取り残されているのです。これが問題なんです。
クラッチカバーとフライホイールに挟まれているからクラッチディスクは身動き取れませんが、クラッチディスクが正確に中心にいないとミッションとドッキングできないんです。そこでセンター出しと言われる作業が必須なのです。あっ、こういうところのボルトは専用工具のトルクレンチでしっかり締めましょう。インパクト工具はご法度です。デジタルレンチが便利です。
クラッチディスクをセンターに合わせる
もしメインシャフトの予備があるなら、事前にパイロットベアリングに差し込んでからクラッチディスクを取り付けてクラッチカバーを締め付ければ、ちゃんとセンターに合うように組み立てできます。そんな事をしなくても専用工具(SST)があるんです。
そこで使うのがクラッチセンター出し専用工具で、メインシャフトの太さによってアダプターを選んで差し込んでおきます。
それとフライホイールの真ん中に刺さっているパイロットベアリングの脱着にも便利な専用工具がありますので、フライホイールを外さないで作業する場合は使ってみてください。 DIY作業の場合はこっちもありかと思いますね。
あとは全てを元に戻してクラッチまわりは完成ですので、ミッションをエンジンに取り付けていよいよDIYも終了です。組み立ての時は、トルクレンチですよ!
ドライブシャフトのブーツ交換
ようやく最後のDIYです。ドライブシャフトのアウター側のブーツは交換しておきましょう。ゴム製や樹脂製がありますがどちらでも構いませんし汎用でもいいです。
FF車両の場合はこの写真のドライブシャフトのアウター部分にベアリングが使われいるためステアリングを回してタイヤが向きを変える事が出来るのです。そのベアリングでパワーを伝えるため負荷が大きく熱を持つため中のグリスが変質しやすくアウターブーツも破損しやすくなります。ブーツが破れると中のグリスが飛び散り、湿気が入るためベアリングが傷んで交換するしかなくなります。
ブーツ交換だけするのであれば、外側からブーツを押し込むためのインサーターやチェンジャーという専用工具で靴下を履くように取り付けることが出来ます。ブーツも専用で伸びのいいエラストマー素材です。これ私も使っていますが便利ですよ。
最後にブーツバンドを締め付けますが、ここでもバンドカッターという専用工具があります。なくても出来ますが締め付けが甘くなることがありますのでお薦めします。
FFで競技走行するならこのグリス
それから、FF車両で競技走行やサーキット走行などハードな使い方をするなら、アウターベアリングに▼のチキソーグリスを使うといいです。こうしてグリスも自分のこだわりで選べるところが、DIYならではの魅力なんですよね。
私は多い時で年間に4本のドライブシャフトを壊しましたが、これを使い始めてから全く壊れなくなりました。写真のものはもう売っていないようですが▼のものがあります。
効果はありました。内緒でしたが特別に教えちゃいます。コストパフォーマンス抜群です。お試しあれ!
最終話あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございました。DIY最終話は短くしました(笑)
車の整備なんてDIYじゃできないと思われますが、場所と工具さえあれば出来る事は多いんです。でもメーカーの専用工具が無いとどうにもならない作業もあったりするので、自作工具を作ったりもします。それもまた楽しいんですよ。
友達とワイワイやるのも楽しい!魅力的な工具でDIYをエンジョイしましょう。
予報は晴れのち快晴です。カーマニアック編集部@サニーでした。
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