小売や製造は個人事業主や法人の大小を問わず最も多い業種、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長する企業があっという間に身売りや倒産に追い込まれるなんてことも良く聞く話です。それは企業の経営の質が表出化する瞬間とも言えます。
小売業なら販売する前に商品の仕入れに在庫の保管などの経費が発生し、製造業でも作る前に材料や部品の調達が必要です。それには何らかの方法でお金を調達しなくてはなりません。多くの経営で問題になっているのは、資金調達とその運用にあります。
コスト競争の連鎖
仕入れが発生する商売には資金の放出が発生し、現金あるいは買掛金としての負債を抱えることになります。
市場に競合がある限り、販売する商品のコストを下げ優位性を得なければなりません。
そのため仕入原価コストを下げる必要があり、ボリュームディスカウントを目的に仕入れ数を増やし、支払い条件も現金や短期の売掛金での調達をしなければなりません。
このコスト競争の連鎖によって多額の棚卸資産が発生します。
在庫に隠された経営の明暗
棚卸資産は名の通り資産であり宝の山ではあるものの売上に繋げなければゴミの山です。
では宝の山がゴミの山になるのはどういう事でしょう。
有能な経営者であれば即答できる基本の「き」ですが、倉庫がゴミの山になっている会社は有数な大手企業においても多いのです。
勢いのある強気の経営によって期末在庫を増やし売上総利益を前年比で大きく上回る状態にするなど、いきすぎれば粉飾につながる危険が潜んでおり、あっという間に倒産、M&Aの餌食となるのです。
在庫をゴミの山にしない法則
せっかくの宝の山をゴミの山にしない方法は適正な循環にあります。人間で言えば血液のようなもの、外部から酸素やエネルギー(お金)に変えて取り込まなければなりません。そこで大事なのは在庫回転率で、理想の基本は一ヶ月以内です。つまり年間で12以上です。
20~30日で在庫が入れ替わっていれば在庫管理は優良と判断できます。業種や製造物によって全てに適用できるものではありませんが、在庫は宝の山となります。
30日以下の在庫回転を目指すことが理想ということを覚えておきましょう。
実は在庫回転率だけではない
良好な経営状態を構築するために在庫回転率は大変重要な要素です。
経営者は仕入れの決済に常に気を配らなくてはなりません。
それでは問題を次に進めましょう。
在庫回転率を高めるということは素早く売ることと素早く仕入れることの両方のバランスです。
仕入れるということは資金が必要ですが、売ったものがいつ現金化されるか(キャッシュフロー)が最大のポイントです。
売掛と買掛のバランスで決まる
安く仕入れるために現金で仕入れて、販売先へは月末締め翌月末現金振込となっていたら一ヶ月間は在庫もなく資金もないことになります。豊富な運転資金があり毎月のように安定した売上が継続的に続くならいいのですが変動が多い事業や社会的な情勢によって業績が悪化した場合は資本金、借入金などに頼ることになリます。仕入れ条件は金額だけでなく売掛とのバランスを考えて同じかそれ以上の長い支払いサイトを心がける必要があります。つまり現金で仕入れるなら売るのも現金というやり方も良い訳です。
売掛だけを先に現金化する
仕入先には買掛で支払い、売掛が即現金に出来たとしたらキャッシュフロー的に事業は有利になります。
通常はこの運転資金の調達のために銀行に借り入れをするのですが、債務超過となってしまった場合は打つ手がなくなってしまいます。
M&Aで事業を譲渡するなど存続の方法はあるとしても、その前に出来ることはやっておくべきです。
ひとつの方法として借入金とならない売掛金の現金化です。
つまりファクタアリング(売掛債権の譲渡)です。
売掛債権を譲渡する
意外と知られていないのでファクタリングについて少しだけ・・・
実は売掛債権を手数料を差し引いて現金化するファクタリングは借入金とはなりません。
つまり債務超過であっても利用することができ保証人や担保も不要なんです。
もし仮に売掛先が支払い困難となってもファクタリング会社が負担する償還請求権のないファクタリングなら資金難の連鎖に巻き込まれることがありません。
こつこつキャッシュフロー改善
優秀な経営者は最初からキャッシュフローに留意して事業を進めます。とは言え戦略のうえで多少の犠牲を伴わなければならない場合もあり、いずれ改善しようにもすぐにできないものがキャッシュフローです。
売掛と買掛のリードタイムをバランス良くすることが先決ですが、多くの取引を急に変更することは容易ではありませんし、事業の悪化を招きかねません。
まずは目立って不利な条件の売掛先の取引分だけをファクタリング向けに選別して、徐々にキャッシュフローの改善をして経営状態の立て直しをしましょう。
もちろん平行して取引先との交渉を丁寧に進めていくことで本来の健全な経営状態となるものと思われます。
こうして借金に頼ることのない資金繰りを目指しましょう。
まとめ
どんなに頑張って利益を得ても倒産しては意味がない。仕事は出来るが経営は苦手って経営者は多いんです。
悩んでいても仕方はないと言っても借りてばかりじゃ債務超過で首が回らなくなる。
借入を考える前に現金化できるものを先にする。
少しずつでも経営を改善することで全てをプラスに転じる可能性が上がります。
予報は晴れのち快晴です。(経営コンサル@KUBOH)でした。
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