カーマニアック編集部です。
相変わらずJAFの出動原因のトップがバッテリー上がりだそうですね。最近の車は故障でエンコなんてないし(エンコは死語だそうですよ)JAFに入っていないのも普通みたいです。ロードサービスってほとんどの任意保険に付帯されていますからね。
とは言え、いまだに故障原因のトップというバッテリー上がりってどんな症状を想像しますか?最も一般的なのはキーを回してもエンジンが掛からない、つまりセルモーターが回らないって事ですよね?
「カチ・キュルキュル・ぶーん=3」です。
確かに原因の1位はバッテリー上がりなんですが、実は編集部の独自調査で3つの原因があることが分かったんです。
カーマニアック編集部ではジネッタが遭遇した故障の原因究明の経験から解説します。最後の3つ目の原因は「え~?こんなのってあり??」です。
それぞれ3つの原因の解決方法については、別のページで詳しく説明しています!
セルモーターの役目
セルモーターはエンジンを始動させるスターターという役目です。最近はセルモーターを動作させるのカッコいいプッシュボタンだったりしますね。
それに自動でエンジンを掛けたり止めたりするアイドリングストップ。モーターとエンジンのハイブリッドもありますが、どれもエンジンを掛けるのは、セルモーターの役目なんです。つまり燃料はあってもモーターを回す「電源」が無いとエンジンは掛からないのです。それが始動用の鉛バッテリーですね。
セルモーターからの音
▼これがセルモーターですが、正常に動作するとき「カチ・キュルキュル」って音がします。
しかし、「カチ」のあと「キュルキュル」とモーターが回らないとエンジンは動きません。それをここでは「カチカチ症状」と呼びます。この「カチ」という音はセルモーター内にある「マグネットスイッチの動作音」なんです。
症状を音から動作で表すとスイッチは動作しているけどモーターは回っていないという説明になります。
セルモーターの仕組み
このカチって音が何なのかを知っていないとセルモーターが回らない時の原因は突き止められませんのでセルモーターの仕組みを簡単に解説しましょう。
▼トヨタの整備書から抜粋しましたが中はDENSOですが一般的にセルモーターと言えば世界的にDENSO製です。中型バイク~トラックまで同じ仕組みで、図はトヨタCELICA用の分解図ですが、みんなこんな構造です。
だいたい「上がモーター側」で「左下がスイッチ側」となっています。キーを回してAのマグネットスイッチ電磁石に12V電流が印加されるとBのプランジャーをケース内に引き寄せます。この時の音が「カチ」です。するとC・Dの電極がつながりEのモーターにバッテリーから直電流が流れます。この時の音が「キュルキュル」です。またプランジャーが動くと同時にFのスターターギアがエンジンのフライホイールのギアに向かって勢いよく飛び出す仕組みです。この時の音も「カチ」に含まれています。
単純な作りですが、仕組みと音の理由が分かると原因も分かってきます。
原因1:カチカチ症状の原因「バッテリー不良」
やっぱりバッテリー不良は外せない原因のひとつです。ただ症状は完全な「カチカチ症状」ではない場合が多いです。どのいう意味かと言うと、初期症状としてはBのプランジャーがC・Dの電極をつなぐところまでは出来るはずだからです。
つまり「カチ・ぐあん・ぐあん」と、今までは「キュルキュル」だったのに、ゆっくり元気のないモーター音がするはずなんです。そして何度かトライする間に「カチ」だけになってしまいます。こういう流れの症状であれば「バッテリー不良」と診断できます。
(原因1)詳しくはこちら▶バッテリー不良時の原因と対策
原因2:カチカチ症状の原因「電極の減り」
これはBのマグネットスイッチのプランジャー電極、C・Dの電極の減りによるものです。これら言ってみればリレースイッチですから大電流はD➡B➡Cの順番に通ります。接点同士が接触する際に激しいスパークが発生し電極は溶けます。そのうち接点はスパークによって溶けて減っていくので、接触不良を起こすのです。この場合の音は「カチ」だけですから、いきなり「カチ」となった場合の原因として有力候補です。
▼実際の写真(左C・D端子)(右Bブランジャー)
最悪の場合、それぞれの接点は融着(溶接と同じ)してしまい接点が外れなくなるとキーを戻してもセルモーターは回り続けます。かなり厄介な故障ですが、滅多にある事ではありません。※経験しました。
(原因2)詳しくはこちら▶マグネットスイッチの接点を交換する
原因3:カチカチ症状の原因「ギアのあたり」
この原因についてはネット検索しても出てきません。まさに編集部の執念!
・・・ということで意外と知られていないようです・・・
写真にあるギアの部分は、プランジャーによって2cmほど押されてフライホイールのギアとの噛合うのですが、その噛合いが悪いことで発生します。これも「カチ」の中の一つなのですが、どちらかと言うと「カッチーン」っとハンマーパンチ的な音です。
この動作を繰り返すことでギアは毎回フライホイールに叩きつけられ先端が徐々に平らになってきます。するとこのギアが飛びだせずにC・Dに接触する位置までプランジャーが動けずモーターが回らない。つまり「カチ」で止まってしますのです。「バッテリー交換や充電」「接点交換」してもエンジンが掛からない場合は、これしかないと診断できます。※マグネットスイッチへの配線抵抗(古い配線など)の場合もあります。
(原因3)詳しくはこちら▶セルモーターギアを修復する
あとがき
実際に外出先でセルモーターが回らないと焦ります。これら3つのケースでは高性能のジャンプスターターなら緊急回避も可能ですが、その場しのぎです。
バッテリーは5千円~3万円くらい、セルモーターは新品で10万円ほどで交換すれば先ず直ります。DIYメンテナンスの場合は別途工具などが必要になりますが部品代は0円~数千円です。カーマニアックな皆さん頑張ってください!
幸運を祈っています!予報は晴れのち快晴です。サニー@でした。
▼私が緊急時に使っているジャンプスターターです。いろいろ買って試してみましたが、結局これじゃないとダメでした。
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