《カーマニアック》WEBERウェーバーキャブレターのメンテ「火災防止のおすすめ」~良い混合気をつくる~

車は大量のガソリンを搭載して走行しています。今では電気自動車などバッテリー搭載もありますが、どちらも一歩間違えれば大変危険な存在。初期消火できる様に消化器は積みましょう!

こんにちは!Answer Stock 「晴れのち快晴」@サニーです

カーマニアック第一弾最後となりました。旧車にとっては超がつくほど精密メカパーツ「キャブレター」を取り上げて筆者が経験したリアルなトラブルから問題点など全4話にわたってご紹介してきました。今回の第4話はとても恐ろしいキャブレターが原因の火災事故について、諸々と検証しましたのでご紹介したいと思います。

  1. 「洗浄と面取り」
  2. 「組立てと油面調整」
  3. 「アイドル調整と同調バランス調整」
  4. 「火災防止のおすすめ」

ウェーバーならではの事故といえるのですが、他でも参考になれば幸いです。

WEBERパーツの調達先から展開図をもらいましたので掲示しておきます。

weberウェーバー分解図

 

バックファイアはとても恐ろしい症状

色々な人と話をしているとアフターファイアとバックファイアを混同されている方が多いようです。念のためご説明しますがアフターは排気側の事で、バックは吸気側になります。図は大袈裟ですが、イメージです。

バックファイアとアフターファイアの違いを説明

アフターファイアはアクセルオフのタイミングなどにマフラーから「パンパンパン」と爆発音がする場合が多いですが、これは燃調が薄くなる瞬間に起きやすく高回転からアクセルオフすると燃料が希薄になって起きます。又は排気管に二次エアが混入している場合もあります。逆に極端に濃いときにも発生しますがキャブ車では稀なケースです。排気二次エアの場合はプラグチェックしても分かりません。

そして、バックファイアは吸気バルブからインマニを通りキャブレター側へ混合気を吐き出すように「逆流」のためエンジンにとって通常では想定されない流れですから精密機械であるキャブレターにとってダメージが大きいのです。これまで紹介してきたキャブの繊細な微調整を目の当たりにすれば、バックファイアの猛烈な爆風で壊れる可能性があることが容易に理解できるでしょう。

バックファイアはなぜ起きるのか

咳き込みとか、クシャミなどとも言われるバックファイアは異常燃焼のひとつですが、どんな条件で起きるのでしょうか。

吸気バルブが閉じ切っていない状態で爆発が生ずる。つまり正常な点火タイミングではなく吸気側へ逆流します。単なる逆流ではなく爆発ですから大変危険です。原因としては主に空気に対して燃料が薄すぎて正常に点火できない場合に起きやすいです。

このため吸気側の二次エアを疑う必要がありますので、怪しいところ(図の矢印のところあたり)にパーツクリーナーをほんの少し吹きかけてみて回転に異常が起きれば、ほぼ二次エアで間違いありません。

二次エアの確認方法

 

二次エアでない場合はアイドリングジェットの番手を上げましょう。この場合のジェットの上げ方ですがエアを絞る方向なので50F8→50F9→55F8→55F9→60F8 というような順番がお薦めです。セッティングが決まるまでジェットってたくさん必要なんです。経験を積めばすぐに決められますよ。

ちなみにウェーバーのジェットは変わっていて、 番手の大きさは燃料の量でいいのですが、 F値については発売(開発)された順番のため数字の大きさでエアーの量が違う訳ではありません。現在販売されている基本的なジェットはF11>F8>F9というようにエアの量が設定されています。

また燃焼と排気を繰り返すレシプロエンジンは一定の角度で吸気と排気のバルブがオーバーラップしますのでタイミングが悪いとバックファイアもアフターファイアも起こすことになります。レース用などのカムシャフトに変えた車などはオーバーラップ時間(角度が大きい)ので症状が起きやすいですね。それはそれでカッコいいんですが・・・

キャブレターにとって横Gの影響はどうか

ウェーバーはフロート室などの作りが良く特に横Gに強いとの評価が高くスポーツカー御用達として使われてきたタイプのものです。ですがどうしても上下の振動には弱いのです。これはフロート(浮き輪)によってニードルバルブ(燃料バルブ)を押し上げているだけなので特にレースなどでは縁石を使ったりしますのでキャブレター内ではニードルバルブが叩きつけられています。キャブレターにとってはたまったものではありません。※前回のフロート調整の図を参照

フロートとニードルバルブの関係

絶えず油面は乱れジェットは本来の燃料供給が出来ません。燃圧や油面の高さはこんなところにも影響しますので正確にしておきたいですね。

ウェーバーならではの問題で燃料が漏れる

私がレースイベントに参加した時キャブレターからの燃料漏れで火災を起こしました。そこにはウェーバーならではの問題がありました。それは補助キャブレター(スターターキャブ)の存在でした。

スターター補助キャブから燃料漏れ

ウェーバーは一般的な始動チョークではなく独立したもう一つのキャブレターが存在します。※機能無しバージョンがあります。大変単純な作りでスターターバルブプランジャーを押し上げることよって燃料とエアーを同時供給します。

weberウェーバーのスターターの機能を図にするとこうなる

それがマニホールド側にあるためバックファイアでプランジャーが開いてオーバーフロー気味の状態が重なると燃料が溢れてきます。燃料が溢れた状態をギアカバーを外してみたのがこの写真です。

燃料が漏れているキャブレター weberウェーバー

そこへ更にバックファイアが起きたらどうなるのか。プランジャーが押し戻され大気中に放出することになりデスビやエキマニ(排気管)によって発火する可能性があります。火災のあとチョークケーブルの被膜が焼けただれて無くなっている様子です。周りも焦げていましたが清掃後です。

燃えたキャブレター weberウェーバー

そして私は実際に体験して補助キャブレターにガスケットを加えて専用のプレートで完全にカバー(蓋)をすることにしました。しかし・・・・・・

weberウェーバーのスターターカバー

絶対にお願いしたいのは、消火器を積むことです。私は普段使いの現代車でも全てに消火器を積んでいます。でも、粉末式は後始末が大変でしょう。 そこで私はCO2式の消火器を使っています。これは汚れないのでお奨めです。と言うかこれっきゃありません。中途半端なABC風消火器は廃棄も出来ないし使い物にもなりません。やめた方がいいです。いや使うべきじゃない。
いいですか!? 現代車でも消火器は積むべきです。いざと言うときに何もできないなんて有りえません。車は電気自動車でも燃える素材が詰まってます、初期消火が大事なんですよ。

補助キャブレターにカバー(蓋)をしてはいけない

確かにスターター機能が無ければ漏れる事はありませんが、こうしてむやみにギアカバーを外してプレート式スターターカバーは使ってはいけません。私の経験ですがプレート式のスターターカバーとは補助キャブレター(スターター)のエア吸入口を塞ぎますが、図の通り燃料バルブプランジャーやその先のスターター燃料ラインは生きているのです。実はそこが一番の問題なんです。

weberウェーバーのスターターカバーを外した場合の図

確かに燃料漏れはしなくなり火災の原因はひとつ排除されますが、今度はスターターバルブプランジャーは弱いバルブスプリングだけの力で押さえられており、そのスプリングを抑えている上部の蓋はネジ止めすらされていません。

バックファイアで補助キャブレターが壊れる

ギアカバーが無くなり弱いスプリングの押さえだけに頼っているバルブプランジャーは図のようにバックファイア時に赤い矢印の力によって勢いよく開きます。

バックファイアで打ち付けられるスターターバルブ

キャブレターからパチンと打ち付けるような音がします。そのような状態が続くことでキャブレター内には高圧が掛かり、プランジャーは真っ黒に焦げて煤汚れで次第に動きが悪くなってくるのです。しかも打ち付けられたプランジャーは段付きが発生しています。

焦げたプランジャー weberウェーバー

そしてトップの蓋はトップカバーガスケットを突き破ってスプリングが飛び出しています。スプリングの蓋はトップカバーのガスケットを突き破ってその上にありました。

ウェーバーWEBER  スプリングが飛びだした状態

戻らないスタータープランジャーで燃調が悪化する

このように弱いスプリングが更にガスケットを突き抜けてテンションが下がりプランジャーを押さえる力が下がり、プランジャー自体も煤が付いて傷だらけになると起きるのが、バックファイアで飛び上がったプランジャーが戻らなくなることが起きてくるのです。当然ながら補助キャブレターが動作しているのですから燃料は濃くなります。初期段階では1㎜程戻りきらず開いた状態なので理由が分からない場合が多いです。正直トラブルの原因を突き止めるまでに時間が掛かりました。理由が分かったので対策です。その前に本来はこのような段付きプランジャーは交換するべきですが、今回は研磨をして再利用します。

ウェーバーWEBER  磨いたプランジャー

補助キャブレターのギアカバー機能を活かして対策すること

何はともあれ対策はギアカバーは先ず元に戻すことです。 このギアカバーには強力な回転スプリングが付いておりプランジャーを強力に押さえつけてくれます。

ウェーバーWEBER  スターターギアカバー

ただ先に申し上げたギアカバーの下側には吸気口がありますので図のような形で紙ガスケットを使ってカバーをします。ギアの動きを絶対に邪魔しないように作成します。これによりプレート式カバーと同じ効果も得られ燃料の噴射は起きません。

ウェーバーWEBER  ガスケット作成

私はワコーズの液体ガスケットも使って塞いでいます。この対策は強力なスプリングでギアがプランジャーを押さえつけて、吸気口も塞ぐことで燃料漏れもしないし燃調の狂いも無くなるという事です。完成したものがこちらです。間にガスケットが入っているのが見えると思います。この対策によって以降のトラブルは一切ありません。

ウェーバーWEBER  ガソリン漏れ対策の完成図

あとがき

さて、如何でしたでしょうか。実際にプレート式のカバーを付けている人を多く見ますが何となく調子が良くないなどのトラブルに見舞われている方が多いと思いますので、参考になれば幸いです。

GinettaG4

たかがバックファイアですが、キャブレターにとっては逆噴射ですから過酷な状態なんです。ちょっと燃調を濃くしてみたり、或いは点火タイミングを少し変えてみるだけで「カシュ、カシュ」は無くなると思いますよ。

完璧にジェッティングなどチューニングしていても、このような想定外のトラブルがあるので、どうしてもカバー(蓋)をしたいなら注意しましょう。

旧車を愛する皆様へ 一緒に駆り続けましょう。

予報は晴れのち快晴です。 サニー@でした。


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